2016年1月17日日曜日

技術士について

技術士という資格は、いわゆる医師や弁護士などのような業務独占の性質の資格ではありません。
科学技術分野、いわゆるエンジニアとしては上位に位置する資格であることは違いありませんが、技術士にあたえられる独占業務はありません。
技術士の範囲は広いため、機械や電気電子、建設、化学などの21の技術部門に大きく分類されています。

自分は、廃棄物処理やリサイクル関係に携わるエンジニアなので、まずは衛生工学部門の技術士を目指し、2003年に衛生工学部門で技術士試験に合格し、衛生工学部門の技術士となりました。
その後、20部門とは位置付けの少し異なる、総合技術監理部門という新しい部門が設置されたので、何度も試験に挑戦し、最終的に2013年になんとか合格するこができました。

技術士を取得しているからといって、特に何かが変わるわけではないのですが、強いて言えば、技術士と名刺に表記することによって、その分野の専門性の高い技術者であるということのPRができるといったところでしょうか。
自分としては、主に公共事業の仕事が多いので、衛生工学分野の技術者であることをPRできるといったところと思っています。

普通はここで終わるところだと思うのですが、実は2015年度に機械部門を受験しました。

特に資格マニアではないのですが、最近入社した若い社員が、がんばってボイラー技師や公害防止管理者などを受けているのを見て、なんか自分も受けてみようかというのがきっかけです。
そこでエネルギー管理士を受けようかと思いつきました。ごみ焼却炉の設計はずっとやっているので、熱関係については実際にやっている仕事に近いため少し勉強すれば受かりそうかなということで受験しました。実際に勉強をし始めたところ、20年以上前に大学で勉強したことがほとんど忘れていて復習の意味ではこれはいい機会だと思い、意外としっかり勉強が進みました。営業マンなので、移動の新幹線や飛行機の中や泊まりの時のホテルなど、できるだけ自宅以外での時間を利用しました。

そのうちに、実は熱工学であれば技術士の機械部門の範囲とかなり重なっているということに気づき、せっかくなら技術士も受けてみようということで機械部門での受験申し込みをしました。

技術士の試験は大きく、午前中のマークシートの問題と午後の論文形式の問題にわかれていて、マークシートの問題は20門中15問を選択回答して6割で合格、論文形式の問題は600字詰め用紙を1枚×2門、2枚を1問、3枚を1問と計7枚を回答する形式になっています。
基本的にはマークシートの問題はエネルギー管理士の問題+過去問で対策して、論文の問題は熱工学に関わるキーワードのまとめをする勉強をしました。

結果的には、エネルギー管理士、技術士試験ともに合格したのですが、(正確には技術士試験は筆記合格後、12月に面接があり、3月に最終合否結果判定となりますが)合否は別として、今回技術士の勉強を通じて行ったキーワードの整理が意外と自分のためになると気づかせてくれました。

ちょうど、仕事を初めて20年ちょっとということで、これまでの技術を整理して体系化するのにちょうど良かったのかもしれません。

特に、エネルギー問題については、エネルギー自給率や地球温暖化の問題、経済性や安全性など非常に多くの事柄を整理できていないと語れないのです。また、エネルギーには自然エネルギーや火力等の化石燃料を使った発電、原子力がありますが、自然エネルギーにも太陽光、風力、水力、地熱やバイオマスなどの様々なものがありますし、火力発電も石炭火力、石油、天然ガスとあります。それぞれに特徴があって長所や短所があります。これらの一つ一つの技術をある程度わかっていないと全体的な総論を語れないということです。

当然、私が直接関わった技術ではないので深いところは議論するつもりはありませんが、私の専門とする廃棄物の焼却やリサイクルなどを語るとき必ずエネルギーの問題は切り離せないので、知識としては最低限持っていないといけないと思ったのでした。

それが、技術士試験を通じて得た貴重な財産です。

そして、技術士として10数年間やってきた今でもまだまだ技術屋として学ぶものは多いと実感しているところです。

環境衛生分野のエンジニアとして今後も引き続き経験を積むと同時に、周辺環境分野の知識を広げ懐の深い技術屋になるために、技術士の試験を通じて精進していきたいと思います。(冒頭で説明した通り会社の職務では営業マンではありますが、生涯技術屋であると自身では思っております!)

技術士の試験は取得が目的ではなく、知識の体系化を通じた自己研鑽と位置付けて臨んでいきたいと思います。

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